胡麻おかべ(胡麻豆腐 /三光院の料理解説)
三光院の胡麻おかべ(豆腐)、そのの三つの特徴
一、皮を剥いた生の胡麻を使用(炒り胡麻を使わない)
一、擂粉木は境内の山椒の木を利用
一、「豆腐」という言葉は忌み言葉だから使わない
⚠️更に詳細を知りたい方だけ、下記にお進みください。
少なくとも食事中でしたら、上記の特徴だけで情報は十分だと思われます。
季節や場の背景を感じることも食だと米田祖栄和尚様はおっしゃっておられました。
是非、空間と時間を楽しんでください。
余計な文章情報はお帰りになってなお、興味がありましたらどうぞ。
」
胡麻豆腐は豆腐ではありません。名前の嘘になります。
名前で誤解して、豆腐に胡麻を混ぜ込んだ食品だと勘違いされている方が時々いらっしゃいます。
胡麻豆腐は、胡麻と、水と、固めるものだけで作ります。固めるものは状況によりますが、基本的には葛を使っています。
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また、三光院では伝統的には「豆腐」という言葉を使いません。
「とうふ」の「ふの字」が腐るという字になりますから、これを忌み言葉として避けます。
ですから三光院では「〇〇豆腐」は全て「〇〇おかべ」と呼びます。これは女房詞(女官言葉)になります※1
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三光院の胡麻豆腐は非常に白いです。これは皮を剥いた生の胡麻を使用しているからです。
一般的な胡麻豆腐は炒り胡麻が使われています。口の中に入れた瞬間に華やかな香りを得ることが目的とされているのでしょう。
一方で竹之御所流においては、喉元を過ぎた後に仄かに胡麻の香りが立ち上がってくるのが理想とされているのです。
炒り胡麻の胡麻豆腐に慣れている方々からは、解説がないと「三光院の胡麻豆腐は胡麻の風味が弱いな」などと評されることもごく稀にありました。それほど非常に珍しかったのです。
しかしここ数年、三光院に学びにきて特別行事として共同献立まで提供することになった高級懐石料理屋さんや、毎年のように生徒を実習や体験で三光院に来院させている大手料理学校の授業においても、胡麻豆腐を生の剥き胡麻で作るのが定着してきたようです。
仄かな香りの味わい、どうぞご堪能ください。
寒い時期ですと生姜の餡掛けで提供されることもありますが、生醤油だけで味わっていただくと、より胡麻の良さが引き立ちます。
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胡麻を摺る擂粉木には山椒の木を使います。
すり鉢で摺るので硬い木である必要があるからです。柔らかい木では削れていって胡麻に木屑が混じってしまいます。
もちろん世の中には山椒の木より硬い木は幾らでもあります。しかし、精進料理の世界では「あるものを使う。あるものを使い切る」という基本精神があります。
したがってあくまで三光院で生えている樹木の中では、この山椒が硬いと。しかもこの山椒は三光院で植え育てているものではありません。全て、鳥の贈り物になります。
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典座(料理担当の僧侶)の世界では胡麻豆腐のことを修行飯と呼ぶこともあります。
星野香栄御住職様は胡麻豆腐の冊子の中で「胡麻すり10年、手の平に血豆が出来て初めて一人前」だと恐ろしいこともお書きになっておられます。(禅僧ですから、これは単純に胡麻豆腐のゴマスリだけを指しているわけではないと思われますが)
一方で、胡麻豆腐は、誰にでも作れる簡単な料理ともされています。
簡単な素材、簡単な調理法。誰にでも作れる。しかし、出来上がったものは作り手によってかなりの差異が生まれます。
西井香春先生のお弟子の中で、一番、胡麻おかべを作るのが上手いとされている香夏さん(胡麻おかべを作る会の担当講師)と、ミシュラン20年連続獲得中のお店にも西井香春先生のお弟子ということで勤めていた香志さんとかが、同じ素材、同じ分量、同じ手順、同じ型で作ってみたことがありました。すると、大きさだけで1,5倍の差が生まれた程です!(Instagramに公開中)
そうした面白さもあるので、三光院では定期的に胡麻おかべを作っみる会も開催しています。美味しい!と思われましたら、是非、自分で作ってみる経験もしてみてくださいね!
ちなみに葛の美味しさは長くは続かないので、保存には向きません。作ったらすぐに食べるのが基本です。すぐに食べないときは、片栗粉なども使います。(詳しくは西井香春先生の著作を参考にしてください)
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胡麻の国内自給率は0.1パーセント以下。三光院でも今年に入ってそれまで仕入れていたところが辞めてしまいました。
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※1
女房とは旦那女房の女房ではございません。
古い時代はその階級の人間しか使わない言葉というのが存在していました。
一番有名なのが「朕」です。日本語は世界で一番一人称が多い言葉になります。私、僕、俺、儂、吾輩などなど、しかし朕と使えるのは陛下だけ。
それと同様で女官さんたちだけが使っていた言葉というのもあります。大枠では宮中言葉とも呼ばれます。
女房の房は部屋を意味します。女官さんたちの中で、個室を許された方々、彼女たちのことを女房と呼びます。女官の中ではちょっと偉い人たちです。
三光院のお料理は、報道のされ方によっては「お姫様の精進料理」と称されることも少なくありませんが、実際には歴史に名を残す皇女の方々が作っていた料理というよりも、公家以上の血筋からお寺に入った元皇女の方々に召し上がっていただくために、無名の尼さんであり、無名の女官さんたちが作り紡いできたお料理と解釈しています。
貧しい時代や、猶子制度(公家以上の家柄において、本当の皇女ではなく、他所から一旦養女を向かい入れた上で、家の皇女としてお寺に入寺させる)で比丘尼御所に入る場合は単独になるでしょうが、基本的にはお付きの女官も一緒にお寺に入ったとされています。
そうした女官さんたちが使っていた言葉を、女房詞(女官言葉)と呼びます。(興味ある方は公家言葉辞典などを参照にしてください)。今ではほぼ全ての言葉が廃語(死語)となっています。
三光院ではそうした歴史的な経緯も踏まえて、せめて料理に関する女房詞だけは、あえて使って残していきたいと。日常語として様々な女房詞の使用を続けています。その一つがこの豆腐を「おかべ」と称すること。
おかべ、とは何か?これは漆喰の白壁のことです。宮中、比丘尼御所にも多かったと思われる白い壁、あの白い壁を豆腐に見立てているわけです。壁に丁寧語の御を冠して「御壁(おんかべ)」で「おかべ」となります。
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三光院精進料理の英語版解説へのリンク 胡麻おかべ編
🇺🇸Click here for the English version.
https://lit.link/sankouin-in-english
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https://englishsankouin.blogspot.com/2026/10/goma-okabe-sesame-tofu-explanation-of.html
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