最中(三光院のお料理解説)

なぜ最初に甘味が?

そう疑問に感じる方々もいらっしゃるようです。食事に来たのにデザートから開始されるのは違和感があるかもしれません。

しかし、これが比丘尼御所の文化でもあるのです。



食事のある無しに関わらず、まず最初にお茶でおもてなしをする。これが、比丘尼御所、尼門跡寺院、三光院と継承されてきた形式です。

ですから、最初に出てくる甘味は、食事ではなく茶事。

お茶の味わいを深めるためにお出ししているのであって、甘味だけで出てきますが、最初はお茶から始まる、というのが正式です。

以前は大福をお出ししておりました(本堂で食事をお出していた時代)。しかし、大福では続く食事に対して腹持ちが良すぎる、ということで最中となりました。

最中に描かれた模様は「笹竜胆」。三光院の御紋になります。

提供する直前にアンコを詰めますので、パリパリとした食感を楽しんでいただけます。料理は作り立てが美味しい!の価値観のもと、三光院では料理は作りながら提供しますから、最中から美味しいのです。

時々、三光院の最中は美味しいからお土産に買わせてくれ!との要望をいただきますが、お受けしておりません!(おそらくご自宅で召し上がっていただく頃には、餡子の詰めたての美味しさは感じていただけなくなりますし)

食べ進んでいただくと、最中の中央に、塩味(えんみ)苦味を感じる部分が出てきます。それは大徳寺納豆と呼ばれるものです。

関東では木村屋のアンパンが、桜の塩漬けで甘味を引き立たせていることが有名ですが、西の方では大徳寺納豆はまだまだポピュラーで、甘味以外としても、ご飯のお供や、お酒のおつまみなんかにも好まれています。


https://www.youtube.com/shorts/zxGMvMkCyUU

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※大徳寺納豆について補足

大徳寺納豆は、一般的な糸を引く納豆とは別物です。

大豆を麹菌で発酵させ、塩を加え、さらに乾燥・熟成させた「塩辛納豆」です。寺納豆、唐納豆とも呼ばれます。

味噌や醤油に近い、非常に塩味の強い保存食品で、昔の寺院にとっては重要な保存食でした。

塩辛納豆のルーツは、中国の「豉(し/くき)」あるいは「豆豉」系の発酵大豆食品。日本ではかなり古くから知られており、『新猿楽記』(11世紀)にはすでに「塩辛納豆」が登場します。

つまり、有名な逸話である一休禅人が創作したわけではありません。

「大徳寺納豆=一休がゼロから発明した」ではない!

中国から伝来した発酵大豆食品が日本の寺院などで作られるようになり、やがて「寺納豆」と呼ばれるようになった、という大きな流れがあります。

大徳寺では、一休宗純がこの納豆の製法を伝えた、あるいは伝え残したという伝承があります。そのため、「一休納豆」という別名もあります。

実際、辞書にも「一休納豆」は大徳寺真珠庵で作られる寺納豆で、「一休和尚の始めたもの」という説明が『雍州府志』(1684)に見えるとされています。

ただし、大徳寺納豆の基礎となる塩辛納豆自体は、それ以前から日本に存在していました。

三光院では天龍寺納豆の名前も良く聞きます。名称は違えど、同じものです。

流石にこの大徳寺納豆を作ることはありません。大徳寺さんも現在では販売用には寺製はしていないそうです。三光院では大徳寺前の一休ではなく「一久(いっきゅう)」さんから仕入れています。

http://www.daitokuji-ikkyu.jp/

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